平安時代、源氏の侵略を契機に東北に吹き荒れた戦乱「前九年の役」、「後三年の役」を生き残った藤原清衡は、奥州藤原三代の祖として平和な仏国土『平泉』の基礎を築いた。
その後百年、東北では平和が維持された。西方では源氏と平家の戦乱が繰り返されていた、その同じ時代にである。
東山町松川に今も澄んだ水をたたえるこの磐井清水は、三代目秀衡公が毎年正月の若水(年の初めの水)をこの泉から汲んだと伝えられるところである。ここで汲まれた若水は、西の方にある奈良坂峠を越えて平泉まで運ばれたと伝えられている。現在も毎年大みそかから元旦にかけて、往時を再現して「若水送り」が行われており、この磐井清水で汲んだ若水を人の手で平泉まで届けている。